マスターズは「パワーを向けるだけの価値ある大会」

 タレントの照英がインタビューの中で自身の陸上競技の現役選手時代の経験や思い出、そして、現在のコロナ禍におけるオリンピックやスポーツの現状、さらにマスターズへの出場について思いを語っている。

 その中で、学生時代から同じ陸上競技の選手として活躍する室伏広治のエピソードも紹介されている。

number.bunshun.jp

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室伏広治とのエピソード

 照英は学生時代に陸上競技を経験し、やり投げの選手として活躍。 そんな照英が現役時代に大きな影響を受けたと言うのが、2020年10月からスポーツ庁の第2代長官に就任した室伏広治
同い年でお互いに全日本クラスの選手だった2人は、中学・高校時代からの旧友とのこと。

 室伏は当時から別格で、100m走やウェイトトレーニングなど、何をやってもずば抜けていたそう。
しかし、その中でも「度肝を抜かれた」と話すのは、1992年の高校3年生のときの国体でのエピソード。室伏は国体の舞台で慣れないやり投げに出場している。

試合前日だったと思うんですけど「投げられないから、教えてよ」と言われて、「こんな感じ?」「ああ、そんな感じ」と。そのぐらいのやり取りしかしてない

 しかし、そんなやり取りをしていたにも関わらず、室伏は2位という成績を残す。
ちなみに、照英はケガで出場できず、室伏との直接対決にはならず。
しかし、室伏の姿を見て、やり投げを続けてもオリンピックに出れたのではないかと懐古する。

 室伏はその後、シドニーアテネ、北京、ロンドンオリンピックを経験し、2016年に現役を引退している。

マスターズへの挑戦

 照英は、東海大学在学中からモデルとしての活動を始めて芸能界入りし、俳優として活躍する一方で、スポーツタレントとして知られるようになる。
さらに、世界陸上のカナダ大会では現地キャスターを務めた。

 そんな照英は、2019年の全日本マスターズ陸上競技選手権大会やり投げで出場し、優勝している。
きっかけとなったのは、テレビの企画で何十年ぶりかにやるやり投げだったそう。

 その時には良い記録はもちろん出なかったのだが、その記録の計測をしたのが高校時代の恩師というドッキリだった。
長年のブランクのある結果よりも、そんな恩師の前で、不甲斐ない結果を見せてしまったことが相当強い悔いとなったのだろう。

 照治はそれ以降、やり投げの練習に再び取り組むようになり、2018年に埼玉県大会に出場して大会新記録を樹立している。
そして、東日本マスターズでも優勝し、2019年に日本一をついに獲得したのだ。

マスターズについて

 照治へのインタビューの本題からは逸れるが、自身のマスターズ出場や優勝の経験から、とても励みになることを述べている。
以下にいくつか抜粋する。

マスターズって気持ちを整理して、スタートラインに立つことが何よりも難しい。何のためにやるのか、しっかりと自分を奮い立たせないと怪我してしまう。

 自身も再びやり投げに挑戦したときに、ウェイトトレーニングで肋骨を骨折したそう。「我々世代は、アスリートの気持ちを取り戻す“理由”が絶対に必要」とも述べている。

 コロナで試合や大会が中止となったり、練習の場所や内容が限られてしまう現在の状況で、モチベーションの維持が難しいことは想像に難くない。
また、同じく東京オリンピックの出場が内定した選手や現役のアスリートも、口に出さないが同様のの状況で苦労しているのではと慮っている。

そこにパワーを向けるだけの価値ある大会でした

 その上で、マスターズは様々なモチベーションで多くの人が参加するが、強い思いを持って臨む価値があると感想を述べている。

 現役を引退した人が再び取り組んだり、社会人になって競技を継続したり…あるいは新たに取り組もうとしている人も多くいるだろう。
しかし、真剣に競技をしようと思っても、年齢や他人からの視線に躊躇したり、100%の気力で取り組めなかったりすることもある。
それでも「自分を試すことが許される」、「挑む試合や機会がある」、なにより「そういう同士が全国全世界に多くいる」というのが励みになるのではないか。

 今年一年のスポーツを取り巻く環境について考えると、そんな風に思える部分があった。